2022-11-04

牧野楠葉・多宇加世それぞれの詩集発売

このたび、牧野楠葉の詩集『アンドレ・バザンの明るい窓』が七月堂から刊行されました。

それと前後する形で多宇加世の詩集『町合わせ』も自費出版で刊行いたしました。

 

『アンドレ・バザンの明るい窓』

の特徴は言うまでもなく、その「シネマ詩」(多宇加世命名)のスタイルにあります。

映画や、生活、感情のカットアップのようなスタイルは唯一無二のものとなっております。

ぜひ読んでいただけると嬉しいです。

 

あるひとの信仰

<わたしたちはここで座っていたのですね>
と彼女は笑い、歯茎を見せたが
ピクニックのレジャーシートが
黄色い風が吹いて
きみは倒れ
消えてしまった

優雅な声のためには
ある程度の犠牲を払わなければならない

悲しみの声のためには
あらゆる夜の二十二時半を設定しなければならない

痣のあるきみはそれだけで有頂天になる

毎日
歯のような手が
いまでは人々があくびをしたかのように……

ふたつの話
花園が崩壊する
大理石のある庭園が地響きによってカーブする

きみはそれを
泡のようだと言って馬鹿にするが
わたしは
それを聞いて
永遠だと思う

いつまでも続けばいい
すべてのものが嘲笑するとき、
海辺が天に上がる

 

『町合わせ』

の特徴は実際に手に取ってもらえると分かるのですが、酒田という町のいろいろなパッチワークで詩と詩のあいだが埋められているというところにあると思います。

酒田は多宇加世が生まれ、幼少期を過ごし、一度は去り、また現在住んでいる町です。

ですが、それがある種、特別なことであると同時に普遍的なものとして読むことができるかと思われます。

 

夜間に穴が開いたので
花粉集めの出番だ
時間稼ぎでなく時間泥棒の
日傘をさして変装したキュレーターが
足で集めた殻の中身は
乾いてある日
丸を作って
過去の詩まで飛んでいった
誰か
暗いままでグラスを洗ってよ

 

 

最後にリンクを貼ってこの記事をしめたいと思います。皆さま、私たちの詩集をよろしくお願いいたします!!

各画像、リンクになっております。

 

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